ECサイトでは特に幅広い!「優良顧客」の定義&分析方法は?

会社の売上に大きく貢献してくれる顧客のことをさす「優良顧客」。一般的には全体の売上の80%を優良顧客が占めていると言われるほど、その存在は大きなものです。しかし、実は一度にたくさん買ってくれる人が優良顧客とは限りません。

また、類似の言葉として「ロイヤルカスタマー」というものもあります。では、一体どういった顧客が優良顧客と見なされるのでしょうか?今回はロイヤルカスタマーとの違いも説明しつつ、定義や分類方法などをご紹介しましょう。

目次

優良顧客の定義は「3つのポイント」によって決まる!

まず、優良顧客をどう定義するかについてです。一般的な顧客分析では以下の3つの特徴に当てはまる必要があると言われており、自社の商品に対して積極的な購入意欲を持って、かつLTV(今までに使ってくれたお金の総額)が高い人、と表すことができます。

・Recency(直近で購入してくれた人、行動が素早い人)

・Frequency(頻繁に注目し、こまめに購入してくれる人)

・Monetary(たくさん購入してくれる人)

この3つの定義から優良顧客を見出すことを「RFM分析」と言い、ECサイトはもちろん主に小売り、サービス業界において重要な指標とされています。

分析に必要なデータは?

RFM分析に必要なデータは「購買日・顧客を識別するID・購買金額」です。顧客のIDごとに最新購買日や合計の購買回数、購買金額を集計し、段階(4~5段階ほど)に分けて上位層を抽出します。それが最終的に優良顧客と分類されるのですね。

しかし、R(最新の購入日)が古くてもまた戻ってきてくれる可能性はありますし、RやFが高くても、Mが低ければ収益に繋がりにくいといった面もありますから、状況に応じて分析結果を慎重に精査する必要があります。

また、RFM分析とは別に「ABC分析」と呼ばれる方法も。これは顧客ごとの過去一定期間における累計売上げを降順でリスト化し、累計比率によって上位層を抽出するというものです。ただし、これは純粋にLTVのみを重視した分析方法となりますから、購入頻度や離脱率(会員を辞めた人の割合)などを考慮できない点には注意しましょう。

ECサイトにおいては「KPI」による判断となるため、より幅広くなりやすい

ECサイトの運営において優良顧客を判断する際には、独自の「KPI」による判断となるため、上記の定義に当てはまるとは限りません。KPIにはLTV以外にも顧客獲得にかかった単価(CPA)やAOV(平均単価)、リピート率など様々なものがあり、どれを重視するかはユーザーの年齢層や今後顧客とどういった関係を構築していきたいかなど、会社ごとの目的によって異なるのです。

そのため、基本的には優良顧客を分析する前に「自社にとって大切にすべき顧客の特徴」を洗い出しておく必要があるでしょう。

ロイヤルカスタマーは、優良顧客の中でも「会社に愛着をもつ」人のこと

優良顧客に似た言葉として「ロイヤルカスタマー」があります。ロイヤルカスタマーは正確には優良顧客の一種なのですが、購入金額や頻度だけで測れるものではなく、その中でも「特に会社やブランドに愛着を持っている人」であるのが特徴です。

つまり、今のところは気に入っているから買い続けている、というステージをもう一段上がって「この商品でなければダメ!」と感じてくれるレベルにまで到達しているということですね。

ロイヤルには「忠誠」との意味が込められているように、こういった顧客は他社製品に魅力を感じてもなかなか乗り換えようとしません。一度他の商品を使ってみたけれど、やっぱりこっちの方が良かった、といった経験を何度か繰り返している傾向もあり、自社と強固な信頼関係を築いてくれている顧客と言えるでしょう。

会社にとっては優良顧客の中でもとりわけ有難い存在と言えますから、その気持ちを維持できるよう、そして他の優良顧客もロイヤルカスタマーへと引き上げられるよう一層努力したいですね。

◎ロイヤルカスタマーを育成するメリットは3つ!

優良顧客からロイヤルカスタマーへの引き上げには、大きく分けて3つのメリットがあります。

・安定した売上・リピート率の向上

これは分かりやすいですが、ロイヤルカスタマーは前述した通り他社へ浮気する確率が低い顧客です。ロイヤルカスタマーの数が増えれば、それだけリピート率も上がって全体的な売上が向上する可能性が高いでしょう。一時的なものではなく、安定した売上に繋がりやすいのも魅力です。

・新規顧客の獲得

ロイヤルカスタマーは自社に対して信頼度が高いため、身近な人にもその良さを広めてくれる傾向があります。また、口コミサイトでも高評価をしてくれるので、オンライン、オフライン双方で新規顧客の獲得に協力してくれる面も。

・宣伝活動の削減

これは希望的観測に近いですが、ロイヤルカスタマーのお陰で新規顧客の数が増えると、その分現在打ち出している広告の効果以上の結果が得られるわけですから、宣伝活動費の削減に繋がることもあるでしょう。

優良顧客の維持&ロイヤルカスタマーに昇華させるポイントは?

分析によって優良顧客を抽出したら、次に出てくる課題が「優良顧客をどう維持するか」ですよね。そして前項でご紹介したように「どうロイヤルカスタマーへと昇華させるか」といった問題も生まれます。

自社にはこれだけの優良顧客がいる、と安心していても、その人々がいつまでも同じ金額を使い続けてくれるとは限りません。なぜかといえば、特に化粧品や日用品、健康食品などの場合「どうしても必要なもので、今のところ他に選択肢がないから」という理由で購入している恐れもあるからです。

また、定期購入してくれている顧客の中には「毎月自動的に届くから面倒がないし、とりあえず続けよう」と考えている人もいるでしょう。こういった顧客は数値上優良顧客と見なせても、他にもっと魅力を感じられる商品、ブランドがあれば乗り換えてしまう確率が高いと言えます。

では、優良顧客をいわゆる「囲い込む」手段としては、どういったものが挙げられるのでしょうか?

方法① 優良顧客をグループ化し、特別な特典やサービスを行う

これは昔からよく用いられてきた戦略で、優良顧客として分類したグループに対してプレゼントを行ったり、特別な割引をしたりといった特典を付けるというもの。優良顧客しか購入できない限定商品やセットを作るのも効果的です。

こうしたサービスにより「優良顧客(会員)になればメリットが大きい」と思わせることができれば、そこからロイヤルカスタマーへの育成も狙えるかもしれません。

方法② 利用頻度に応じて優遇措置を行う「ポイント制」を導入

これはポイントカードやネットショッピングの購入履歴などにより、使った金額や頻度に応じて分かりやすい優遇措置を行うものです。

楽天やAmazonなどで買い物した際、使うごとにポイントがつき、その分割引されるという特典を享受した経験がある方も多いですよね。特にポイントが貯まりやすい、という印象を与えられれれば離脱率も低くなりますし、顧客にとってのニーズを高められるでしょう。

デジタル時代における「優良顧客」の定義はさらに大きくなっている!

このように、優良顧客には会社ごとに様々な分析方法がありますが、いずれにしろ自社の売上に大きく影響を与えてくれている、という点では共通しています。

昨今においてはネットの普及により、優良顧客の定義はさらに広がっているとの説も。例えば口コミサイトに積極的に投稿する人や、Instagram等で多数のフォロワーを持ち、自社の商品を宣伝してくれる人(いわゆるインフルエンサー)などを優良顧客として当てはめる会社も増えているようです。

拡散力や宣伝力のある顧客や、長く商品を買ってくれる顧客、一度にたくさん買ってくれる顧客…何を特に重視するかは商品やサービスによっても異なるでしょうが、特典やサービス、キャンペーンなどを工夫しながら、より良い関係性を維持、向上させていきたいですね。

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