ECサイト、特に単品リピート通販において適した商材と言われる「化粧品」。しかし、成功へ導くためには魅力的な商品を作るだけでなく、リピート購入や定期購入を行ってくれる常連顧客を増やさなければなりません。
そこで、最も大切なことのひとつと言われているのが「ブランディング」。これは化粧品を広く知ってもらった上でブランド化するための活動を指し、うまく行けば頻繁に購入してくれる顧客の中でも、自社のファンとして支えてくれるロイヤルカスタマーを育成できるとされています。
では、ブランディングとは一体どのように行えば良いのでしょうか?今回は進め方やポイントなどについて、細かく見てみましょう。
化粧品のブランディングには「4つのポイント」がある!
化粧品のブランディングを行う上で焦点となるのが「他社にはない強みを感じさせる」こと。化粧品は単品リピート通販の商材として定番ではありますが、だからこそ大手、中小問わず数多くの商品が生まれているため、その中に新規参入するのは至難の業です。
ゆえにまずは、デザインや成分などで他社との違いを実感してもらう必要があります。では、具体的にはどういったポイントがあるのか?を詳しくご紹介しましょう。
その① 一般には流通していないオリジナル商品であること
まず、化粧品をブランド化する上での最重要ポイントは「オリジナルの商品を作る」こと。他社の商品を幅広く揃えたセレクトショップも存在しますが、価格競争に巻き込まれるリスクが高いですし、そもそも総合通販的なサイトの場合、競合が強すぎて新規参入が難しいと言われています。
そのため、まずは一般には流通していない商品を開発しましょう。「このアイテムを取り扱っている唯一のお店」というイメージが定着すれば、ブランディングの成功は大きく近づくはず。昨今ではOEMメーカーと呼ばれる受託企業を利用することで、化粧品開発の専門知識がなくとも比較的自社オリジナルの化粧品を製造しやすくなりました。
その② 自社メディア(サイト)を制作すること
Amazonや楽天などの大手ショッピングモールに委託する方法もあるものの、やはりブランディングを行うなら自社ならではのメディアを制作するのがおすすめ。商品のコンセプトや開発理由、売り手の想いなどもアピールできますし、消費者にとって企業が親しみやすい存在になります。
その③ 商品のみならず、サイトのデザインにもこだわること
化粧品は、パッケージデザインを見て手に取る人も多い商品。ボトルの形状やラベル、カラーリングなどのデザインにはもちろんこだわりたいものですが、イメージに沿ったサイトデザインにするのも効果的です。公式サイトに足を運んだ瞬間「オシャレ!」と思われれば、商品への興味もより高まります。
また、ターゲットを意識したデザインづくりも大切。例えば若い女性向けなら可愛らしくポップなもの、大人の女性向けならラグジュアリー感溢れる洗練されたもの、メンズ向けなら青や黒などを基調としてスタイリッシュに…など、競合となる他社のデザインと被らないように気を付けつつ、自社商品ならではの魅力を醸し出したいですね。
その④ SNSも活用して宣伝を行うこと
企業が公式にPRを行う場として、すっかり一般的となったSNS。TwitterやInstagram、Facebookなどのアカウントを持つ会社も多く、たびたび人々の間で話題になっていますよね。
SNSをブランディングに活用することの利点は、何といっても「ユーザーとの距離が近い」こと。生の声を聞く良い機会にもなるので、化粧品のECサイトを運営する場合はぜひアカウントを作ってみてください。Instagramは画像や写真でのアピールに適した場、Twitterは新商品や新情報、ユーザーの声などを拡散するのに優れているなど、SNSごとの特性も考えてマーケティングを行うのが良いでしょう。
◎CSR(環境や社会への配慮)活動をアピールするのも効果的
CSRとは、企業が活動を行う上で担う社会的責任のこと。これだけ聞くと何の話?と思ってしまいますが、例えば環境への配慮や社会貢献、従業員に向けた福利厚生など、その会社ごとに設けられた課題に沿って実施されている取り組み、と考えると良いのではないでしょうか。
消費者にとってはあまり関係のないものと捉えがちですが、意外とCSR活動に注目している人は多いようです。代表的な化粧品会社でも「がん患者への外見ケアサポート(資生堂)」や「メイクに興味のあるお子さんへのワークショップ(シュウウエムラ)」、「乳がんキャンペーン(エスティローダー)」など、様々な努力が行われています。自社製品のターゲット層と照らし合わせ、どういったCSRが課題となるかを検討してみましょう。
参考:化粧品会社の【CSR活動】って知っている?|化粧品買うんだったら意識高い系!https://oggi.jp/137226(Oggi jp)
化粧品ブランディングはどう進めればいい?
化粧品をブランディングする上でのポイントは上記の通りですが、具体的にどう進めるか?といえば、まずは以下のような内容を精査し、宣伝方法を検討するのが一般的です。
「ペルソナ」を設定し、ユーザー視点でのブランディングを検討
最初にやるべきことは、自社製品を使用するユーザーの具体的なイメージとなる「ペルソナ」を作成するというもの。
・ペルソナの設定項目例 性別/名前/年齢/職業/年収/家族構成/性格/外見イメージ(服装の趣味)/SNSの使用状況/美容への興味の有無 など
化粧品は価格帯だけでなく、成分や香り、パッケージデザイン、オーガニックにこだわっているかなど、その傾向によって使うユーザーが全く違ってきます。細かくペルソナを設定すればするほど、ユーザー視点でのマーケティングが可能となるでしょう。
「コンセプト」は、強みを言語化する形で作る
また、商品コンセプトも大事。ペルソナを基に「どんなシーンで使いたい?」かを考え、キャッチーながらこだわりが感じられるコピーを考えてみてください。
「成分や機能面」も、ユーザー層に合わせた表現で詳しく記載
成分や機能についても、美容に興味がある人ほど徹底して見る部分。分かりやすく、かつ馴染みやすい表現を心がけ、商品に対して安心感を得られるよう工夫しなければなりません。
「パッケージ」については、ユーザーのライフスタイルに寄り添えるかを考える
パッケージデザインは、オシャレなだけではダメ。スキンケアなら洗面台や化粧台に無理なく並べられるか、容量も含め確認しましょう。メイクアップ用品は化粧ポーチに収まりきるサイズが望ましいですが、容器が繊細すぎて割れやすいと逆にデメリットになってしまうので、バランスに注意が必要です。
老舗でも定期的に実施している!「リブランディング」という方法も
ここまではECサイトにおける新規参入を考えてのブランディングについてまとめてきましたが、ブランディングを頑張っているのは新しい企業だけではありません。数十年以上愛され続けてきた老舗化粧品ブランドでも、定期的にブランディングが見直されています。なぜならば、その時々の流行に沿ったアイテムを提供するため。
これを「リブランディング」と言い、どんなに一世を風靡した人気ブランドであっても、長く生き残るためには必須の施策です。ただし、リブランディングを行うには以下のような点に注意しなければならないとも言われています。
リブランディングの失敗例
・長年人気を集めてきた看板商品を一新してしまう ・流行りに乗りすぎて、自社ならではの個性を消してしまう ・リブランディングの目的が明確でなかったため、調査が無駄になってしまった
ある程度実績がある企業だからこそ、自社の強みはしっかり残さなければならないもの。しかし、企業イメージを一新させようと気を張りすぎて、結果的に消費者に混乱を招いてしまうケースも少なくありません。ブランディングもリブランディングも、まずはユーザー視点に立つことが重要と言えるでしょう。