CRM(顧客関係管理)施策の一環としてよく用いられる「メール」。昨今ではLINEやSNSの普及もあり、メールは顧客にはたらきかけるツールとしてはもう適していないのではないか、との疑問の声もあるでしょうが、実際にはいまだCRM施策として非常に有効だと言われています。
しかし、そのメリットを享受するためには、すべての顧客に対して同じ内容を送るのではなく、顧客ごとの傾向を把握した上で、ニーズに応えられるメールマーケティングを工夫しなければなりません。では、CRM施策としてのメールの効果的な手順やおすすめのツールにはどのようなものがあるのでしょうか?
メールマーケティングのメリットは「低コスト」かつ「柔軟性」にある
メールでのマーケティングといえば、ダイレクトメールやメールマガジンなどが代表的です。しかし、そういった広告や連絡はチラシやハガキでも可能なはず。では、なぜメールマーケティングはそれらに比べて効率が良いと言われるのでしょうか?
・ハガキやチラシを印刷する必要がなく、低コストで顧客へのアプローチが可能 ・オンラインのため情報を一括管理しやすく、顧客1人1人のニーズに合わせたカスタマイズを行える ・使用するツールによっては、顧客の行動や購買傾向について分析・管理してくれるものもある
メールには現物が存在しませんから、最低限のコストでマーケティングを図ることができます。また、オンラインゆえに顧客ごとの情報を集めるのも比較的簡単。その時求める情報を与えやすいので、効率よく満足度を高め、売上アップに繋げられる可能性があるのです。
ただし、いっぽうで「定期的な配信が必要で、適した内容についての分析に時間がかかる」という点には注意。人件費や手間を削減するため、専用の配信ツールを使用して賢く自動化するのがおすすめと言えるでしょう。
一般的なメールマーケティングの手法
CRM施策としてのメールマーケティングには、主に「一斉送信(メールマガジンやダイレクトメールなど)」と「ステップメール」、「フォローメール」という3つの手法が存在します。
一斉送信
例えば新製品の情報やイベント情報など、顧客全体に同じ内容を送っても差し支えないものに関しては、ダイレクトメールやメールマガジンなどで一斉送信を行う方法を取られることが多いようです。ただし、この方法では顧客それぞれのニーズに合わせることが難しいので、繰り返し送るなどしてしつこく思われないよう注意しなければなりません。
ステップメール
ステップメールは資料請求や商品購入の後に送られる継続的なメールのことで、登録のお礼や会社紹介、オトクなお知らせ、商品の使い方などを記載し、顧客の関心をより一層高める目的があります。併せてクリック率や開封率などのデータも収集できれば、更に効果的な反応が得られる可能性も。
フォローメール
ステップメールと類似の意味として使われることもありますが、ここでは「特定の顧客(ユーザー)に向けたメール」として分類されます。たとえば購入額が一定以上の人、一定期間でF&Qへのアクセス回数が多く、何か困っていると考えられる人など、配信先の条件を指定することで、ステップメールよりもきめ細やかな顧客対応が可能です。
メールマーケティングはこれらの手法を使い分け、それぞれに合ったタイミングで送信することが大切。では、どのような手順でCRM施策を行えば良いのでしょうか?
メールマーケティングの4ステップ
CRMの情報を活かし、適切なメールマーケティングを行うためには、以下のような手順が用いられるのが一般的です。
その① 顧客情報を収集し、データの作成を行う
顧客の情報(氏名やメールアドレス、住所、購入履歴など)をまとめ、CRMに登録してデータを整理します。地域や年齢、家族構成なども有効な内容です。また、企業を顧客とする会社の場合は、拠点や業種、社員数なども重要となるでしょう。
その② 登録したデータをもとに、顧客傾向を分析
登録したデータをもとに、顧客の傾向を分析します。地域や年齢、購入履歴からすると顧客はどのように分類できるのか、どういったメールを送れば興味を惹くことができるのかなどについて、CRMツールも活用しながら検討しましょう。また、開封率をはじめ、メールに対する顧客の反応を確認するのも大切です。
その③ 分析結果を参考として、フォローメールやステップメールを送る
分析結果が出たら、それを参考にステップメールやフォローメールを送信。顧客の傾向ごとに日ごろの感謝を伝えたり、新しいキャンペーンをお知らせしたり、おすすめの商品を紹介したりと工夫しましょう。
その④ 配信ツールを用い、メールをシステム化する
ある程度メール配信の方針が決まったら、配信専用のツールを用いてメールをシステム化し、自動で作業を行えるようにします。定期的にメール配信をしなければならない、となると必ず必要になることなので、この手順はその③の前に検討しておくのもおすすめです。
おすすめのメール配信ツール&選び方のポイント
メールマーケティングにおいて活躍するのが「配信ツール」。しかし、世の中にはたくさんのメール配信ツールがあります。主にCRM施策と連動したものが多く、機能もさまざまです。今回は特徴ごとに、代表的なものをご紹介しましょう。
・Zoho CRM(ゾーホー)
低コスト、かつ手軽に導入しやすいと評判の顧客管理・営業支援システム。月額1,440円からとリーズナブルなのが特徴で、顧客データの収集から分類、分析レポートの作成、メールや電話などといったマルチチャネルまで幅広い機能を網羅しています。メールマーケティングに関しても、定期的なメルマガを中心に対象者を指定した送信が可能。CRM施策と合わせたツールをお求めの方におすすめです。
・WEBCAS CRM
20年にわたっての販売実績を誇るCRMサービス。メール配信からアンケート、LINE配信、SNS配信、会員登録など、顧客とのコミュニケーションを適切に行うためのプラットフォームです。メール配信に特化した「WEBCAS e-mail」も用意されているため、自社の目的に合わせた活用が可能と言えます。
・All Gather CRM
顧客管理や分析、グループウェアなど、幅広いマーケティング活動に対応したCRMツール。WEB連携したメール配信機能も搭載されており、会員向けの専用サイトも作成できます。
◎配信ツールを選ぶにあたってのポイントは?
上記のとおり、配信ツールには様々なものがあります。しかし、効果的に活かすためには、自社の目的に合わせた適切なサービスを選ぶことが大切です。
ポイント① 解決しなければならない課題は何か?を考える
まず、現状会社にとって解決しなければならない課題について考えます。たとえば「顧客情報は収集しているのに、適切に管理できていない気がする」「見込み客は多いのに、そこからの売上に繋がらない」など、問題点を洗い出してみてください。
ポイント② どのような成果を得たいのか、導入目的を明らかにする
次に「なぜツールを導入するのか」という目的を明瞭にしましょう。顧客情報の効率化や引き上げ率(見込み客から本購入に至った割合)アップ、スムーズな営業活動など、理由をもとに必要な機能を検討します。
ポイント③ 解決したい項目に優先順位をつける
会社によっては、課題が複数出てくることもありますよね。そこで、達成したい目標の「優先順位」を決めるのもポイント。コストや手間などの現実的な問題もふまえ、最重要課題の解決に臨みましょう。
メールを用いたCRM施策は、手法や手順はもちろん自社に最適な配信ツールの選択もカギとなります。中には今回ご紹介したように、CRM対策とメール配信機能を併せ持つサービスもありますから、必要に応じて検討したいですね。