LTVは「顧客生涯価値」とも呼ばれ、顧客1人あたりの購入金額の累計(今までに自社の商品をどれだけ買ったかの総額)を指します。この値は顧客サービスを行っている企業にとっては重要な指標とされ、最近ではCRM(顧客関係管理)の視点からも注目されるようになりました。
LTVの数値が大きい企業の傾向としては、一般的に「カスタマーロイヤリティ(顧客の企業に対する愛着)」が高いことが挙げられます。顧客1人1人にとってそこでしか買えないもの、そこでしか受けられないサービスがあり、万が一なくなってしまったら困る、と思われる企業だからこそ使われるお金も多く、長く続いていけるのですね。
LTV分析を行うメリットは?
引用元:ぱくたそhttps://www.pakutaso.com/20140154007post-3674.html
LTVは、詳しく分析することで「事業開設から現在に至るまでの、最も売上貢献度が高い客層」を抽出することができます。これがLTV分析です。LTVを正しく把握できれば、全体の売上だけでなく様々な視点からの課題を見つけることも可能と言えるでしょう。
メリット① LTVが高い客層から、新規顧客のクオリティが分かる
新規顧客は順調に獲得できているのに、今ひとつ売上をアップできない…そういった場合には、顧客それぞれのLTVを思うように高められていない恐れがあります。LTVが高い顧客の傾向を分析することで客層の違いが分かり、新規顧客に対する有益なアプローチ方法も考えやすくなる可能性があるでしょう。
メリット② 既存顧客向けの施策を精査することができる
既存顧客向けの施策に関しても、LTV分析を行うことで「今現在売上に貢献しているのか」を把握することが可能です。(後述の、CPAから見る販促活動についての公式が具体例と言えます)また、顧客の育成状況に関しても見えてくるものが多いのではないでしょうか。
メリット③ 新たな施策の判断材料になる可能性も
LTV分析により現在の課題を見つけることで、今後新たに試みようとしている施策が適切かの判断材料になることもあります。商材によってはCPA(1人あたりのコンバージョンにかかった広告費)だけを重視して考えると施策が難しいこともありますが、LTVを含めるとコストの許容幅が広がるため、より様々な施策を考えやすくなる可能性もあるでしょう。
LTV分析は特に「CPAの算出」に有効!
LTV分析はマーケティングの立場から見ると、主にCPA(コンバージョン1件あたりの広告費)の算出に使用されるケースが多いと言われています。
LTVを計算するにはいくつか方法がありますが、基本的には1人1人あたりのLTVを確実に抽出することは難しいので、概算して求められる場合が多いよう。そこで今回は、代表的な公式を見てみましょう。
・(売上高-売上原価)÷購入者数=LTV ・顧客の年間取引額×収益率×顧客の継続年数=LTV ・顧客の平均購入単価×平均購入回数=LTV
上記のようにある程度の数値を算出したら、これに粗利率(売上高から売上原価を引いた粗利を、売上高で割ったもの)を掛けることで「上限CPA」を求められるようになります。
・LTV×粗利率=上限CPA
上限CPAは顧客1人あたりの獲得にかかった広告費の限界であり、現状の売上から見て広告費にかけられる予算はここまで、ということを表しています。逆に言えば「これ以上かけたらマイナスになってしまう」数値でもあるので、広告費の目標とも言えますね。
◎販促結果を踏まえると、現状の改善策が見えてくることも
上限CPAから販促結果となるCPA(販促費÷CV数)を引く方法で、現在使用している広告費が売上にどれだけ貢献しているのかを見ることも可能です。
・上限CPA-販促結果CPA(販促費÷CV数)=プラスorマイナス
公式の結果がプラスになれば、現在の広告費が売上に充分貢献していることを指します。しかし、逆にマイナスになってしまった場合は、現在の販促活動では不十分と言えるでしょう。
赤字対策としては「LTVを上げることで上限CPAの値もアップさせる」、または「販促結果となるCPAの値を下げる(販促コストを削減する)」といったものが考えられますが、LTVを向上させる施策にはコスト削減も含まれるので、今回は前者について効果的な方法を見てみましょう。
LTVを最大化するための施策にはどのようなものがある?
引用元:ぱくたそhttps://www.pakutaso.com/20210445113post-34501.html
LTVを最大化するためのポイントとしては、LTVを算出した要素にもよりますが、基本的なところとして前述した通り「維持コスト、および獲得コストを下げる」方法があります。つまり、広告費や商材の開発、サービスなどにかける費用を減らすということですね。
とはいえ、はじめからコスト削減の方向性で考えてしまうと、結果的に商品の魅力が落ちたり、サービスが不十分になったりして顧客ばなれを引き起こすリスクも。そこでまずは、以下のような施策から考えていくのが良いでしょう。
⒈平均購入単価をアップさせる
LTVにおいて最も課題となりやすいと言われているのが「平均購入単価」。特に単品リピート通販をはじめとする通販業界においては、毎日買い物に行く可能性があるスーパーやコンビニなどに比べてどうしても購入頻度は少なくなるので、1回あたりの単価は重要となります。
ただし、だからといって「突然の値上げ」や「高いものだけを厳選し、それ以外の商材を切り捨てる」といった手法は危険。逆に顧客との信頼関係が損なわれる恐れがありますから、基本的には以下のような施策が用いられることが多いです。
・クロスセル:顧客が興味を持てそうな関連商品を勧める ・アップセル:現在購入されている商品よりもグレードの高いものを勧める
クロスセルは例えば「化粧水を購入した人に乳液や美容液を勧める」といったもので、レコメンド機能を利用して顧客に自動的に「こちらの商品もおすすめです」と提示するシステムもあります。
対してアップセルは、上記の化粧品の例で言えば「現在購入されている美容液よりもより貴重な成分を配合した上位互換を勧める」という具合です。しかし、こういった施策に関しても押し売り感が出てしまうと結果的に顧客が離れる原因にもなるため、あくまでも顧客目線に立った丁寧な対応が求められるでしょう。
⒉購入頻度の増加を狙う
具体的には「今は年に3回程度注文してもらっている人に、年に4~5回は注文してもらえるようにしよう」という施策です。例えばLTVが15万円の顧客と5万円の顧客がいたとします。通常は前者の方が重視すべきだと思われますが、前者は1度きりの注文、後者は最初の注文から毎月1万円ずつ購入してくれている…という形だと、後者の方が今後大切にすべきお客様と考えられますよね。
そのため、LTVの向上には購入頻度も大事。施策としては「DMやステップメール(フォローメール)での情報発信」や「期間限定のキャンペーンをお知らせ」などがあります。
⒊継続して購入する期間を伸ばす
購入頻度と似た考えですが、LTVは継続して購入する期間が長ければ長いほど当然向上していきます。そのため、定期的に顧客が興味を惹かれるような商材の開発や定期購入プランの提案、サブスクリプション(定額で一定期間サービスを利用継続できる)システムの導入などを行い、継続購入しやすい環境を整えることが重要です。
最初にご紹介したように、LTVが高い会社はある意味で「顧客がその企業に感じる幸福度が高い」とも言えます。他にはない魅力とサービスを提供できるよう、自社にとって適切な施策を考えていきたいですね。
◎LTV分析には、便利なツールも提供されている
LTV分析は企業の成長を考える上で重要と言えますが、自力で一から準備するとなると大変な部分もありますよね。そこで昨今では、以下のような専用ツールも提供されています。見やすさ、使いやすさに優れ、多彩な機能が搭載されているようですから、興味のある方はぜひ資料を請求してみてはいかがでしょうか?
・LTV-Lab
https://wakuten.net/ltvlabplus/ltv%E5%88%86%E6%9E%90%E6%A9%9F%E8%83%BD/