メディアレーションとは?単品リピート通販での計算方法と基準になる数値は?

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単品リピート通販における「MR(メディアレーション)」とは

化粧品や健康食品では、ある特定のキーワード、商材にピンポイントに焦点を合わせて、リスティング広告やランディングページからその商品を直接購入し、以後、ランディングページを通じてリピート購買するという消費者行動が知られています。これを単品リピート通販といいます。

あらゆるビジネス同様にインターネット通販の世界でも、ビジネスモデル(事業モデル)が有効かどうかの検証が行われます。なぜなら、ビジネスを推進するには投資やコストが必要であり、それに見合った利益が得られなければビジネスを続ける理由がないからです。

ファイナンスではこうした考え方をRoI(return on investment:投資に対する収益率)という考え方を用いて数値化します。MR(メディアレーション)は、投資・費用を広告に絞った形で考えた指標であり、「初回売上」÷「媒体費(広告メディアのコスト)」という形で計算します。

つまり、MRはかけた広告費がどれだけすぐに回収できたかということを示す指標です。広告の効果を考えるときに、MRが高ければ高いほど、望ましいということになります。事業モデルにとって、投下した資本をどれだけ迅速に回収できるかは極めて重要なことだからです。

ただ、近年では競争が激化してMRが1を超える事はほとんどありません。もしMR1を超える広告があったら、極端な話、有り金全部使ってその広告を回すべきです

メディアレーション計算方法は?MR目標値は今は競争激化で0.5は良い数字

実際に、MR(エムアール、メディアレーション)を計算してみましょう。MRは「初回売上」÷「広告費」で計算します。

例として、商品を宣伝するのに1000万円かかり、広告を通じて商品が500万円売れた、としましょう。この場合、MR=500÷1000で0.5となります。このMRはどのように解釈すればよいでしょうか。

0.5という数値であれば、初回売上で、かけた広告費の半分が回収できたということになります。仮に、MRが0.1なら1割が回収できたという解釈になりますし、MRが1以上なら初回売上で広告費を完全に回収できるということになります。原則的にはMRが高ければ高いほど、かけたコストを迅速に回収できることになるため、その事業モデルは素晴らしいと考えることができます。

かつて通販の世界がブルーオーシャン、つまり競争が少なく参入するプレイヤーが少なかったときには良いビジネスモデルをつくればMRが1を超えることも少なくなかったと言われます。この状態では、広告を打てばすぐにその金額が回収できるため、仕掛けと回収を続けることでどんどんビジネスを拡大することができました。

今となってはMRは0.5でもかなり良い数字と言われます。つまり、一度広告を仕掛けるときにはすぐに回収できる費用は良くて半分と認識するべきです。コストに関する予測や予想はビジネスの安定性にかかわるため、厳しく設定しておくべきです。つまり、0.5よりもかなり低い水準でエムアールを設定しておくことで、予想外のコストに悩む必要はなくなります。

もしメディアレーションの指標が0.2しかなければ、広告にかけたコストの2割しか回収できないのだから、それでは損ではないかと思う人もいるかもしれません。それは早計かもしれません。現代では通販の勝ち筋はリカリングモデルやリピートモデルと呼ばれるものです。

プロモーションに食いついてランディングページを訪問する顧客と売り手の関係は一度切りではありません。顧客との関係の上に、リピート販売、「アップセル」「クロスセル」といったマーケティング上の工夫を重ねていくことで売上を積み重ねていけば、すぐにコストが回収できなかったとしても十分な利益を望むことができるのです。

したがって、現在では広告宣伝費はすぐに回収するものではなく、リピート販売を前提とするものになっています。たとえ一度の売上が広告費に対して0.2でも「LTV向上」「クロスセル」「アップセル」で回収できる施策を取る必要があるのです。ただ繰り返しになりますが、リピート通販ではMRは高いに越したことがありません。

単品リピート通販で初回で広告費を回収する事は難しい、CPOで計算する企業が主流

いまでは、広告費を初回売上で回収するのは難しくなっています。ましてや、健康食品や化粧品といった単品リピート通販は、初回で広告費を回収することは非常に難しいと言ってよいでしょう。単品リピート通販は先述したように、ある商品に対してランディングページを訪問し、目当ての商品だけを繰り返し購入するという消費形態です。

この場合、リピート販売が前提となっているため、MRの高さは広告費の有効活用の指標としては不十分なのです。もちろん、かけたコストを迅速に回収するに越したことはないのですが、リピート販売という仕組みとそれを推進するマーケティング施策を正しく評価するためには、MRと異なる役割の指標を導入する必要があります。

リピーターを評価する場合に初回売上を評価しても適切ではありません。一過性(売り切り)の関係と違い、継続的な売り上げをもたらしてくれる顧客なのですから、企業にとって重要なのはそうした顧客が何人いるかが重要になります。

この点を評価するのが「CPO」という指標です。これは1件の受注を獲得するために、どれだけ広告費がかかったかということを評価します。広告費は顧客と関係を築くために使われているので、顧客を1人つかまえる(すなわち1件の新規受注が発生する)のに、何円かかっているかを知ることが必要です。少ないコストでたくさんの顧客をつかまえることができれば、単品リピート通販のビジネスモデルは成功するからです。

CPO(Cost Per Order:受注1件当たりのコスト)は「広告費」÷「(新規)受注件数」で計算します。仮に1,000万円の広告費に対して新規顧客による受注が1,000件であれば、CPOは10,000(円/件)となります。一度の売上が2,500円だとすると、リピート4回で広告費が回収できるという計算です。このとき、初回売上は2,500(円)×1,000(件)で250万円となり、MRは0.25となります。2,500円の商品が平均して1月に1回売れる場合には4か月で広告費が回収されます。

リピーターがその商品を2年買い続けるとなると、残り20ヵ月分は広告費がかからない売上と言えるでしょう。MRではこうした長期的な視点に立った利益構造を分析することができません。単品リピート通販は売り切り型の販売とは目指すべき姿が違い、マーケティングの立場から最適化しなければならない経営要素も異なります。

役割が異なれば指標は異なって当然です。マーケティングにかかわる人間は正しい指標の使い方を心得ていなければなりません。あるビジネスを評価するために適切な指標を利用できない場合は、正しい施策を打てずにビジネスの現状を改善することができないばかりではなく、誤った施策を実行してせっかくうまくいっているビジネスに破壊的な影響を与えてしまいかねないからです。

したがって、単品リピート通販のビジネスモデルを評価するためにはCPOを利用したほうがよいでしょう。

仮に、MRが1となる売り切りモデルの商品があったとしましょう。リピート性が高くない商品ですが、1年後に半分の顧客がリピートしてくれるとします。2年後にはそのさらに半分がリピートしてくれます。このとき、2年後には広告費の1.75倍の売上が見込めますが、上の例に比べると見込める売上全体はかなり少なくなります。細かい計算は省きますが(ぜひ一度計算してみてください)、リピートを評価するときにはCPOを利用するのが有効であるということがわかるはずです。

メディアレーション(MR)、CPOのまとめ

マーケティングは過去の様々なビジネスモデルの成功率を高めるために、様々な考え方や用語を生み出してきました。メディアレーション(MR)、CPOもそうした経緯で生まれたものです。こうした考え方や用語は分析対象となるビジネスの正しい理解に基づいて活用することが重要です。

売り切り商品であれば、広告費でどれだけ初回売上につながるかがビジネスモデルの正しい評価になります。なぜなら、ほとんどの売上が初回売上によるものだからです。しかし、リピートが重要な場合にはそうではありません。何度も商品を購入してくれる顧客の数が売上の総額に直結するからです。

こうした用語をやみくもに振り回すと、逆効果になることがあります。たとえば、単品リピート通販を評価する際にCPOではなく、MRを重視してしまうというような間違いです。初回売上が低いからこの広告は打つべきではないという判断が行われると、リピーターによってもたらされる宝の山を捨ててしまうことにもなりかねません。これはリピート通販の成功の鍵が顧客数にある、という理解が正しくできていないせいで起こります。

単品リピート通販の評価をする際には、CPOを使って広告費がどれだけ顧客数を効率的に集められているかをチェックすることが重要です。MRは不要ではありませんが、これは初回売上によってどれくらい広告費を回収することができるかという資金繰り的な観点の指標であっても、ビジネスモデルの成否を判断するための指標ではないのです。

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