組織づくりやマーケティングにも活かせる!マズローの欲求5段階説とは?

人間は、誰しもが「こうなりたい」「これが欲しい」「こんなことをしたい」といった欲求を持っているものです。しかし、その欲求は決してひとつではありませんよね。ある側面では満たされているようでも、まだまだ自分の人生に満足できない…という人も多いのではないでしょうか。

それはもしかしたら、より高い欲求の「段階」を目指しているからかもしれません。「マズローの欲求5段階説」によれば、人間の欲求は5つの傾向に分類できるとされており、その法則を知れば組織づくりやマーケティングなどのビジネスにも役立つと言われています。

そこで今回はそれぞれの段階について詳しくご説明するとともに、注意点やビジネスへの活かし方などについてまとめてみました。

満たされるごとに高次元へ!マズローの欲求5段階説を確認

まず、マズローの欲求5段階説とは何か?について。これはアメリカの心理学者であるアブラハム・マズローが提唱したもので「人間の欲求には5つの段階があり、低次元の欲求を満たすごとにひとつ上の段階を求めるようになる」とする説のことです。

では、5段階の欲求について、低い方(最低限満たさなければ生きていけない欲求)から順に確認していきましょう。

その① 生理的欲求

生理的欲求は、生きていくために満たす必要がある欲求のこと。例えば「お腹がすいた」「眠い」「トイレに行きたい」など、日常生活における3大欲求が代表的です。動物の場合はおおむねこの段階に欲求が集約されますが、人間の場合はそれだけでは精神的に満たされない、という人がほとんどだと思います。

ただし、次の段階へ上がるには、この生理的欲求が満たされているのが大前提。読書や映画鑑賞をしている時に睡魔が襲ってきたり、トイレに行きたくなったりすると集中できなくなるように、生理的欲求は人間の欲求における土台だと言えるでしょう。

例:睡眠欲・食欲・排泄欲など

その② 安全の欲求

安全の欲求とは「不安がない場所で、経済的にも安定した暮らしを求める」欲求のこと。いつ誰に命を狙われるか分からない環境にいたり、光熱費も支払えないほど困窮していたりすると、安定した生活を送るのは難しいですよね。生理的欲求に加え、この段階になると心の安寧も求めるようになります。

例:法や秩序・身の安全・不安からの自由などの追求

その③ 社会的欲求

社会的欲求は「家族や配偶者から愛されたい、社会に受け入れられたい」という気持ちのこと。生理的欲求や安全の欲求が満たされると、一般的には安定した組織や団体(家庭)に所属したい、孤独を逃れたいといった感情が生まれます。自分を受け入れてくれる存在がいれば、生きることに対してより大きな意義を感じられるようになる、というわけですね。

例:帰属欲求(孤独からの解放・社会集団への所属・パートナーや仲間の追求など)

その④ 承認欲求

承認欲求は、組織や団体に所属した上で「自信を持ちたい、他者に認められたい」と考えること。人間は安全な場所で特定の組織やコミュニティに属せるようになると、今度は自分がその中でどのような立ち位置なのか、を気にし始めると言われています。

これは基本的には「自己に対するもの(高位の承認欲求)」と「他者からの評価に対するもの(低位の承認欲求)」の2種類に分けられますが、特に日本人は自分で自分を認められない傾向が強いとの話も。己と真っすぐに向き合い、自分なりの達成感に従って行動できるようになることが、次の段階へ進むヒントかもしれません。

例:出世欲・自尊心の欲求など

その⑤ 自己実現の欲求

最後に、自己実現の欲求は「自らの世界観に基づき、なりたい自分を目指す」欲求のこと。承認欲求が満たされると、人は自分の才能や能力を最大限に活かし、独自の夢を叶えたいと思うようになる傾向があるのです。

マズローはこれを自己実現の欲求と呼び「人は、自分がなりうるものにならなければいけない」と述べています。基本的に人間は、自己実現に向かって絶えず成長する生きものだということですね。

例:夢や理想に近づきたいと願う心・やりたい仕事をしたい・自分にしかできないことを叶えたいと思う心など

番外:自己超越の欲求(6つ目の欲求)

マズローの欲求5段階説は基本的に以上ですが、マズローは後年6つ目の欲求として「自己超越の欲求」も存在するとの説を提唱しています。これは5つの欲求を超越したもので、見返りを求めず自らの崇高な目的(他者や社会への貢献)のために動くことです。

例:寄付・慈善事業など

◎5段階は、人によって順位が入れ替わることもある!

注意したいのは、上記5段階の欲求は「人によって順番が入れ替わるケースもある」こと。通常は生理的欲求や社会的地位が安定していてこそ自己実現の欲求が生まれるものですが、優れた芸術家や起業家の中には、寝食を忘れて創作や仕事に耽る人もいますよね。それについてはマズローも言及しているため、優先順位は必ずしも固定されない、と覚えておきましょう。

マズローの欲求5段階説を「社員のモチベーションアップ」に活用する方法は?

マズローの欲求5段階説をビジネスに活用する方法は様々ですが、企業側が行える代表的なものとしては「社員のモチベーションアップ」や「マーケティング」などが挙げられます。社内の人材と社外の消費者、どちらに対しても有効とは興味深いですね。

では、まずは組織づくりに活用する方向性で、どのようなポイントを押さえるべきかをご紹介していきましょう。

ポイント① 社員の欲求に合わせ、何が満たされていないかを考える

マズローの欲求5段階説は「低次の欲求から満たしていく」のが基本。そのため、社員が安全な場所で健康な生活を送れることが大前提となります。年齢や立場、キャリアなどに見合った収入を与えているか、労働時間は適切か、などをしっかり確認しておきましょう。

その他、何に対して渇きを覚えているかは人によるところもありますから、単に「昇給させてやる」「ボーナスを出す」など即物的なアプローチを行うだけでなく、現在の状況や立ち位置に応じたケアを試みることが大切です。

ポイント② 社会的欲求と承認欲求を重視する

会社員の場合、職場に求めるのは主に「社会的欲求」と「承認欲求」であると言われています。自己実現の欲求に至ると会社ができることは限られてくるので、基本的にはできる限りチームワークを大事にした環境づくりを行い、その人に見合う仕事や見返りを与えられているか、が争点となるでしょう。

ポイント③ 孤立している社員がいないか気を配る

社会的欲求を満たすためには、自分がその組織において必要とされている、と実感できなければなりません。チーム体制は一見整っていても、実際に確認してみると孤独感を覚えている社員が存在するケースも少なくないと言われているため、定期的に上司と部下、チーム内の人同士でコミュニケーションを取れる場を設けるのがおすすめです。

マズローの欲求5段階説を「マーケティング」に活用する方法は?

このように、社員のモチベーションアップにも有効とされるマズローの欲求5段階説ですが、マーケティングに活かす方法もあります。

そもそも商品やサービスは顧客の欲求を満たすためにあると言っても過言ではないので、マズローの欲求5段階説はマーケティングの基礎的な思想とも考えられるかもしれません。

自社の商品やサービスが、消費者のどのような欲求にはたらきかけられるのか…例えば以下のように、段階ごとに書き表してみてはいかがでしょうか。今回はホテル業界を例に、消費者が求める欲求を記してみました。

◎例:ホテルにおける消費者の一般的な欲求

生理的欲求:手入れの行き届いた寝具で眠りたい、美味しい料理を食べたい、など

安全の欲求:綺麗で安心できる、プライベートな空間で休みたい、など

社会的欲求:スタッフから丁重なサービスを受けたい、など

承認欲求:SNSに素敵な旅行の風景をアップしたい、一流ホテルに泊まったことを羨ましがられたい、など

自己実現の欲求:特になし

自己実現の欲求は消費者自身の考え方にもよりますが、上記のようにその他の欲求に関しては満たせる可能性があります。

ポイントは「自社ならではの強みは何か、ひとつの欲求にこだわらず考える」こと。顧客の気持ちに寄り添い、ニーズを洗い出しながらマーケティング戦略を行ってみてくださいね。