ECサイトの代表的な商材として知られる「化粧品」や「健康食品」。それなりに単価が高く、気に入ってもらえれば定期購入に繋がりやすいという理由から選ぶ経営者の方も多いでしょう。
しかし、化粧品や健康食品は開発時だけでなく、表示や広告にも注意しておかなければ法律違反になってしまう恐れもあります。そのため、特に専門的な知識がない方は経営に興味があってもなかなかチャレンジできない…といったお悩みもあるのではないでしょうか。
そこで心強い味方となってくれるのが、豊富な知識を活かしてアドバイスを行ってくれる「薬事コンサルタント」です。今回は薬事コンサルタントへの依頼を検討している方のために、そもそもどういった資格や経験を持つ人物なのか、ECサイトが利用する上でのポイントや依頼のメリットなどをまとめました。
ECサイトにおいては特に「薬機法」が重要!
コンサルタントといえば経営や商品開発、課題解決などにおいてアドバイスを行ってくれる人、というイメージですが、薬事コンサルタントは中でも「医療機器やヘルスケアビジネスの専門家」と表現することができます。
薬事コンサルタントの専門分野&業務は幅広い
薬事コンサルタントの役割は、医療機器や薬品の製造・販売にあたっての薬事申請書作成業務代行、施設での立ち会い業務、市販後対応など所属する会社や対象となる企業によって多岐に渡ります。
元々製薬会社や化粧品会社で働いていた人物が、キャリアを活かしてコンサルタントとして活躍するパターンも多く、実際求人を見ると一定以上(3~5年以上)の実務・現場経験を条件とするケースも少なくないようです。
しかし、ECサイトで販売される商品は基本的に医療機器や医薬品ではなく、より気軽に利用できるヘルスケア製品であることが多いですよね。よってコンサルタントに依頼する際には、まず「薬機法」についての正しい知識を持っているか(薬事チェックに対応しているか)どうかが最低条件となるでしょう。
自社の化粧品や健康食品が「薬機法」違反になると、罰則が与えられることも!
特にECサイトのコンサルティングにおいて重要な「薬機法」。薬機法は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(※薬事法ドットコムよりhttps://www.yakujihou.com/content/yakkihou.html)」で、製造や表示、販売、流通、広告などに関して細かく定められたルールのことです。
薬機法を守るためには、自社で開発した製品に医薬品に該当する成分が含まれていないか(含まれている場合は製造許可を取得しなければなりません)、誇大広告になっていないかなどをふまえ、適切な販売を行う必要があります。
これに違反すると最悪罰金や懲役などの罰則が課せられる恐れもある上、噂が広まれば顧客や取引先からの信用を失う恐れも。開発やマーケティングを行う際には薬事コンサルタントをはじめとする専門家の意見も参考にしつつ、違反しないよう十分注意してくださいね。
実績を詳しく確認!薬事コンサルタントを選ぶポイント
薬事コンサルタントは、前述した通り求められる役割に応じて様々な資格やキャリア、能力(英語力・認証機関における審査経験など)を有しています。
得意分野も違うため、事前にしっかり確認しておかないと目的に合わないコンサルタントに依頼してしまったり、報酬と予算が見合わなかったりするかもしれません。そこで、ECサイトの場合は以下のようなポイントを押さえて選ぶのがおすすめと言えるでしょう。
ポイント① ECサイトのコンサルティング実績があるか
薬事関係にも対応したコンサルタント会社は数多く存在しますが、依頼する際には最初に実績を確認するのが基本。過去の実績を見ると「医療機器や医薬品関連の依頼が多いみたいだな…」「化粧品会社が中心だから、健康食品に詳しい人がいるかチェックした方がいいかもしれない」などの情報が窺えるはずです。
特にECサイトは実店舗とは運営方法が異なる面もあるので、ふさわしい知識やネットワークを持つ薬事コンサルタントが在籍しているか見ておきたいもの。昨今ではECサイトを専門的に扱うコンサルティング会社もありますから、気になる会社がなければそういったところを検討してみるのも良いのではないでしょうか。
ポイント② 自社製品にふさわしい資格を有しているか
薬事コンサルタントに活かせる資格は様々なものがありますが、特にECサイトの薬機法を考える上で代表的なのが「薬事法管理者」および「コスメ薬事法管理者」です。いずれも民間資格ではありますが、知識をはかる上である程度の指標になることもあるでしょう。
・薬事法管理者:民間団体である薬事法有識者会議が認定。主に健康食品(サプリメント)や健康器具・通販医薬品などヘルスケアビジネスに関する法的知識の習得を証明するもの。 ・コスメ薬事法管理者:上記と同団体が認定する民間資格で、主に化粧品(コスメ)に関する薬機法に違反していないかを判断できる知識を証明するもの。
薬事法管理者のみでも化粧品に対するアドバイスは不可能ではないものの、化粧品関係の会社であればなるべくコスメ薬事法管理者の資格を有するコンサルタントを頼った方が、より専門性の高いサポートを受けられる可能性が高いかもしれませんね。
ポイント③ 料金設定が明瞭か
注意しておかなければならないのは、コンサルティングを依頼するにはその会社が設定する料金(報酬)が必要ということ。
これは当然ながら会社によって異なり、サポートの度合いによっていくつかのプランが用意されているところや、任せたいサービスごとに料金が発生するところ、対応時間ごとに料金が設定されているところなど様々です。予算と照らし合わせ、初回相談の際に追加料金の有無等含めてよく話し合っておきましょう。
ポイント④ 目的に合わせたアドバイスを行ってくれるか
薬事コンサルタントのサービス内容は、会社によって異なる部分もあります。例えば薬事チェックのみを任せたい、マーケティングに関してもアドバイスが欲しい、初めて健康食品や化粧品を取り扱う上での注意点等のセミナーを受けたい…など、自分の目的に合うサービスを行っているかも重要なポイントだと言えるでしょう。
法律に準拠できるだけじゃない!薬事コンサルタントに依頼するメリット
このように薬事コンサルタントは、健康食品や化粧品を販売する上でも非常に心強い存在です。しかし、実は薬機法に関するアドバイスを受けられる以外にも幅広いメリットがあります。
メリット① 法に触れず、適切な開発・マーケティングが行える
これについてはお話しした通りですが、薬事コンサルタントに依頼することで薬機法に違反せず、適切な商品開発やマーケティングを行うことが可能です。
メリット② プロの視点から、効率のよい課題解決法を模索できる
薬事コンサルタントは法律に関する専門知識を持つだけでなく、化粧品やヘルスケア商品の販売に対して確かなノウハウを有しています。そのため、売上をアップさせるためにどのような商品を開発すべきか、現状の課題(新規顧客の獲得が難しい、定期購入への申し込みが伸び悩んでいるなど)を解決するにはどういった施策を試みるべきかなど、マーケティングをはじめ様々な悩みを相談できるのもメリットと言えるでしょう。
メリット③ 独自のネットワークを持つコンサルタントも少なくない
薬事コンサルタントに限らず、コンサルタントは基本的に独自の人脈やネットワークを持っていることも多いです。例えば「コスト削減のため、原料の仕入れ値をもう少し下げたい…」といった悩みがある場合には、そういったネットワークを活用し、代わりに交渉してもらうことで実現しやすくなるケースもあります。
専門知識やネットワークを活かし、様々な方向性から支援が期待できる薬事コンサルタント。事前に自社の課題や目的をできる限り明確にした上で、効果的なサポートが受けられる会社・コンサルタントに依頼したいですね。