開業届は出さなくてもOK!?ネットショップを始める時の手続きについて

ネットショップを開設する際には、一般的に「開業手続き」というものが必要になります。しかし、例えば自分で制作したハンドメイド作品やデジタルデータ、デザインなどを売る、という場合には、利益が出てからじゃないとよく分からない…なんて方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、そもそも開業手続きは絶対に必要なのか?から、どのような流れで行われるのかなどについて詳しくまとめてみました。これからネットショップ経営を考えている場合は、ぜひご覧ください。

目次

開業届は出さなくても罰則はナシ!でも、基本的には義務!

結論から言えば、ネットショップにおける開業届は「出さなくても罰則はない」と言えます。本来事業を行う場合は原則として“事業開始から1か月以内に”出さなければならないものなのですが、利益率や商材によっては出さずに経営している方もいるようです。

しかし、中には「開業届を出さなければならないケース」や「その他の許可を取らなければならないケース」も。では、具体的にはどういった例があるのでしょうか?

青色申告の申請を行いたいと思っているなら、開業届は必須

純利益が一定以上を超えると、副業の場合でも確定申告が必要となります。その際、個人事業主向けの白色申告ではなく、一定以上の規模をもつ事業者向けの「青色申告」を希望するのであれば、事前に開業届の申請を行わなければならないのです。

青色申告は特別控除が最大65万円と、白色申告よりも控除額が高く設定されています。ゆえに節税効果を考えるとメリットが大きいのですが、申請には承認審査を通過する義務が生じるので、本業でない限りはあまり期待しない方が良いとの話も。また、申請には開業届以外にも帳簿の提出が求められますから、収支はしっかりと把握しておきましょう。

事前に許可が必要な商材を取り扱っている場合は、別途取得を

開業届以外にも問題となるのが「営業許可」や「販売許可」といったものが必要な商材を扱っているかどうかです。例えば以下のような商品を考えている場合は、どこに申請しなければならないか早めに調べておいてくださいね。

・食品:食品衛生法に基づく営業許可(所轄の保健所へ)

・健康食品の:医薬品医療機器等法に基づく許可(所轄の保健所、または各都道府県の薬務課へ)※取り扱う種類による

・酒類:通信販売酒類小売業免許(所轄の税務署)※※ネットショップにおいて、2つ以上の都道府県に販売する場合

・医薬品:薬局開設許可/医療品販売許可/特定販売届出(所轄の保健所、各都道府県の薬務課など)

・中古品の買い取り・販売:古物商許可(所轄の警察署、生活安全課)

※化粧品は、ケースによって許可の必要性が異なる!

単品リピート通販をはじめ、ネットショップにおいて代表的な商材のひとつとされる化粧品。化粧品は販売方法によって義務付けられる許可が異なるため、よく確認しておくのがおすすめです。

例えば、ブランド化粧品を直接輸入販売するショップなら「化粧品製造販売許可」の取得が必須。これに対し、自社オリジナルの化粧品を製造、販売するショップには上記の製造販売許可にプラスして「化粧品製造業許可」を取得しなければなりません。さらに、その化粧品が医薬部外品と見なされるのであればさらに事情が変わってきますので、詳しくは所轄の保健所、もしくは各都道府県の薬務課へお尋ねください。

手続きを円滑に行うには?ネットショップ開業までの5ステップ

このように、ネットショップ開業の際には取り扱う商材によっても様々なことを考えなければならないのですね。では、ネットショップ開業までにはどういった手順を踏む必要があるのか?について、詳しく見ていきましょう。

その① ネットショップのコンセプトを決め、事業計画を立てる

最初に、事業開始の基本である「どのようなショップにするか」を決めます。特に単品リピート通販の場合は、この時点で取り扱い商品を真剣に考える必要がありますね。予算に合わせた事業規模もふまえつつ、魅力的な商品づくりのアイデアを検討しましょう。

開業にあたり、とりわけ重要なのが「コンセプト」。コンセプトは経営方針にも影響するため、ブレない指標としてはじめに定めておくのが大切です。「販売方法」も意外と選択肢が幅広い(自社サイトだけでなく、Amazonや楽天に出店するか、ショッピングツールを利用するかなど)ですから、商品に合ったものを検討したいですね。

その② 機材やシステムなどについて考える

事業計画が細かく立てられると、サイト構築にどういった機材やシステムが求められるかも分かってきます。例えば大型のモール型ショッピングサイトに出店するのであれば、新しく決済システム等を契約する必要はありませんね。

しかし、逆に自社サイトオンリーでやっていくのなら、決済システムやショッピング(カート)ツール、顧客分析のためのCRMツールなど様々なサービスの利用を検討しなければなりません。ただし、それぞれコストがかかるため、事前にできる限り具体的な計画を立てておきましょう。

その③ 必要な許可証を調べ、申請を行う

前述した通り、ネットショップで取り扱う商材によっては開業前に「許可証」の申請が義務付けられます。医薬品や食品に関わらないから大丈夫でしょ、と安易に考えず、念のためよく調べた上で、必要に応じて税務署や保健所などを訪ねてください。

その④ ネットショップを制作し、決済方法を決める

自社サイトを用いる場合は、いよいよホームページの制作です。業者やデザイナーに委託するのも良いですし、配布されているテンプレートを使って自分で制作するのもコストが抑えられておすすめと言えるでしょう。

また、決済方法についても考えておきます。通信販売は利便性が重要なので、最低でも郵便振り込みとクレジットカード払い、着払い(代引き)には対応しておきたいもの。注文フォームは分かりやすい場所に設置し、入力項目は明瞭に仕上げましょう。昨今ではフォーム一体型LPと言って、ランディングページの中にフォームを組み込む形も主流となっています。

その⑤ 開業届を出す

最後に、こちらも必要に応じて開業届を出します。最初に申し上げた通り、基本的には事業開始から1か月以内、と定められてはいますが、自分がこの日から始めた、と思う日を大まかに設定して構いません。

開業届の提出先は「税務署」です。青色申告に関する申請も一緒にできますから、希望する方は準備しておくのが望ましいでしょう。

開業前に「特定商取引法」についても確認!

ネットショップを開業するにあたり、もう一つ必ず確認しておくべきものがあります。それは「特定商取引法」です。これは実際の商品を手に取ってもらうことができないため、イメージだけで間違ったアイテムを購入してしまってトラブルが起きる…といった事態を防ぐための法律と考えてください。

特定商取引法においては、通信販売の商品説明、および公式サイトに以下の表示が義務付けられています。

1.販売価格

2.送料

3.販売価格・送料等以外に発生する金銭

4.代金の支払時期

5.代金の支払方法

6.商品の引渡時期

7.返品特約に関する事項

8.事業者の氏名または名称、電話番号、住所

9.申し込み有効期限(※ある場合)

10.販売業者の責任に関する特約(※商品に隠れた瑕疵がある場合)

11.数量制限をはじめとした販売方法の制限

中には難しく感じるものもあるかもしれませんが、基本的には消費者目線に立ち「何が記載されていないと不安か?」を考えて詳しく表記するのが良いでしょう。特に返品や有効期限などは分かりにくいとトラブルに繋がるケースが多いですから、漏れがないかよく確認してみてくださいね。

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